日立の住宅1年検査 2004.09
先日、久方ぶりに検査のため日立の住宅に訪れました。東京駅よりバスに乗り、2時間半。なんだか懐かしい感じです。ちょっとどきどきしながら現地に到着すると庭が大きく変化していました。竣工当時は庭の手入れがされていなかったのですが、その後ゆっくりと施主がいろいろと手をかけ、考えて様々な道や木や植物が植えられ緑がこの住宅を囲んでいました。
こうやって施主が手を入れることで愛着を持ってこの家や生活を愛してもらえるきっかけになってもらえたらいいなぁーと思うし、ゆっくり家を作っていくというのはこういうことだと思いました。
1年検査自体は大きな問題はなく安心しました。結露などもないようで快適に過ごしているというお話しにホット胸をなで下ろします。そういった性能的なものはもちろん私たちはもう一つ見に来たものがあります。それは家の中の様々な使われ方の気配です。どこにどういった物がどこに置かれ、この部屋はどのように使われているのかを置かれているものから推測したり、建て主に聞いたりしながら大切なフィードバックの瞬間でもあるのです。僕たちが想像していたアクティビティー(行為)がどこまで現実になっているのかを。
そこで、ちょっと確信したことを。
この日立の住宅ではキッチンとダイニングが同じテーブルになっており、この家の中心といっても過言ではないように設計されている。しかし、設計当初奥様より「こんなに見られるキッチンはいやだ」という反対にあっていた。また、以前に住まわれていた住まいの台所の写真を見せていただいてもたしかにきれいではない。僕も自分の実家を思い出してみると、はい、大変汚く、ものであふれていて長年の油汚れが・・・・とそんな状態です。
でも、話し合いの末このようにアイランドキッチンとし、すべてをオープンにして玄関はいると一番最初に見える場所に配置したらすごくきれいにつかってくださっていたのです。
一応僕が牽制球として「これ僕たちが来るからきれいにしたんですか?」なんて失礼なことを聞くと奥さんは「いえいえ、これが普通ですよ」と。旦那さんも「いやぁーほんときれいにつかっているんだよねぇー」と。
人は見られて美しくなるなどといわれますが、まさしくその通りで、キッチンも表舞台に引き出すときれいになるもんだなぁーと実感しました。掃除も一気にやると大変ですが毎日少しずつやれば大変ではないようです。「おっし、やったなぁー」と相方と密かに喜びました。
いろいろとチェックしたり、工務店の人と手直しの話が終わりかけるとテーブルにはいっぱいの料理がいつのまにか置かれており、「どうぞ召し上がってください」とおいしい手料理をごちそうになりました。当日にきていた職人さんや工務店の人と共にテーブルを囲み、アイランドキッチンもきちんとこうやって使われているかと思うと、これまた幸せな瞬間です。
これからもいい家として使われ続け、カスタマイズされ続けることを祈りながら黄色と青のシートの電車に乗ってかえりました。あっという間に1日が過ぎていくものです。