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「建築の記憶」展 2008.03

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東京都庭園美術館で「建築の記憶」展を見ました。庭園美術館は昭和初期に建てられた旧朝香宮邸という邸宅としても知られています。以前勤めていた事務所で、ちょうど同時期の細川公爵邸という東京都の指定文化財となっている建物の改修を担当していて、何度か足を運んだことがありました。アールデコ調の建物で、展示を鑑賞する間にもあちらこちらの内装に目が行ってしまいます。
今回の展覧会は、建築とそれを記憶する写真を、時代の変換とともに辿るという企画です。建築の歴史については自分なりに知っていても、それを記録する写真の役割は時代ごとに全く違っていることにあらためて驚きます。同じ写真という媒体なのにこんなにも意味が違うのかと。
初めて建築が写真として記録された江戸城などの写真には、えも言われぬ緊張感が漂います。伊東忠太による写真では、建築学を開花させた役割の大きさを実感。前川國男や丹下健三らの重要なコンペにおける模型写真は、まるで実現したかのようなリアリティを感じさせます。石元泰博による桂離宮は、もちろん修復はされるのですが、時代を超えて変わらぬ美しさを見ることができました。
現代建築写真の展示は、普段見慣れたものかなあと思いきや、また写真の新たな意味を示していました。それぞれの作品において、実際で目で見るよりも鮮明に建築家の思いを伝えています。杉本博司による安藤建築は、コンクリートに穿たれた穴を象徴的に映し出します。鈴木理策による青森県立美術館では、雪の白さとタタキのコントラスト。畠山直哉による仙台メディアテークでは、建てるプロセス。建築家と写真家とのコラボレーションによってより強く建築が伝わってきます。
自分はと言えば・・・、最近はもっぱらデジカメによる撮影になってしまい、アングルの善し悪しもそこそこにすぐにシャッターを切ってしまいます。枚数は増えるばかりで整理が大変。昔は重い一眼レフを持ち歩いて、写真を撮ること自体が楽しかったものですが。あらためて写真の大切さを感じて、新しい一眼レフ欲しいなあと思いながら、梅の花咲く庭園を散歩しました。

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