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黒皮の鉄骨階段 2012.03

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 「柿生の住宅」は僕が熱を出して布団の中で唸っている間に上棟が終わり、着々と進んでおります。いままでイメージしていた空間や形がフレームだけですが1/1で表れてくる喜びは毎回とても楽しみです。

さて、写真は鉄骨階段なのですが、仕上を黒皮にしました。仕上というと鉄に何かを塗っているのと思われるかもしれませんが、黒皮というのは鉄を作るときに自然と出来てしまう酸化皮膜の事を言います。鉄を加熱してロールにはさんで押し延ばしているのですが、その製造工程で暑い鉄から冷める時に出来る物のようです。薄い鉄板の黒皮はちょっと光沢があって透明感があるようにみえる黒、厚い鉄板系は黒皮も熱く、マッドな黒でして、たたくとパリパリ剥がれるような感じの皮膜です。
通常はこれを酸で洗って亜鉛メッキをかけたり、錆び止めを塗ったりするのですが、今回は黒皮をあえて残したまま使用し、溶接の熱で黒皮がはがれてしまってもそのままという粗い仕上がりとしています。鉄が持っている素の姿ということで、化粧前の素材が持つ力強さを美しいと感じてもらえたらと思っています。
黒皮が奇麗に表面を覆っていれば鉄は錆びないのですが、剥がれるとあっという間に空気中でも錆びてきます。よってこの階段は現場に搬入して取り付けし、次の日にウレタンで塗膜を作り、空気と鉄のを接触しないようにしています。
個人的には鉄に色を塗って化粧しているより、この粗い感じがかっこいいなぁーと思っているのですが、最終的に全体が出来上がったときにどう見えるかが重要ですね。楽しみです。

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