先日、木構造が専門の佐藤実さんと対話してきまして、楽待のYoutubeにて公開されています。1時間弱と少し長めですが、ぜひご覧いただければ嬉しいです。
熊本地震に学ぶ、買ってはいけない住宅&倒壊しない家の建て方は?/耐震性能が低い家の見抜き方/やっぱり地盤が重要/ 命を守る「究極」の地震対策とは《佐藤実×岡村裕次》
久方ぶりの動画出演ですが、今までには楽待で下記のような動画が公開されています。散歩をしながらわかりやすく建築法規が街並みにどのように反映されているのかを解説しています。それを知るだけですこしお散歩が楽しくなるかも!という視点をお伝えしています。ありがたいことに190万回再生されている動画もあり、今でもすこしずつ見ていただけているようです。
他にも、こちらはジブリ映画にでてくる建物を解説するという動画でして、なかなか再生回数的には寂しいのですが、内容は面白いと私は思っているので、こちらもぜひ見ていただければ幸いです。
・【ジブリ】99%の人が見逃す!?「屋根裏」の秘密とは? 宮崎駿作品の「建築雑学」を、ジブリ大好き一級建築士が解説!
さて、今回の動画での役割は木構造専門の佐藤さんから色々と話しを引き出す役割でした。いわゆるMCです。MCってなんの略か知ってます?Master of Ceremonies(マスター・オブ・セレモニーズ) の略のようでして、「マスター」が付いちゃっている大事な役割でした。熊本地震により、被災地以外の方でも地震に注目が集まっている中、建築を生業とする私たちが伝えるべきことを佐藤さんに話していただこうと考えました。また、視聴者の方々が知りたい、聞きたいことを私が代理で聞けるように心がけました。
最初はガチガチで滑舌も悪いので、お恥ずかしい限りですが、対話自体はあっという間でほぼカットされずに公開されています。
動画が公開されるとコメント欄では「どの構造形式が一番」的な話題で盛り上がります。2×4が良いのではないか?木造はだめでRCなら大丈夫などなどです。また、そもそも「どこに建っているかのほうが重要だ!」という意見もありました。私がここで回答を出すというわけではありませんが、対面でご質問を受けたときにどのように答えているかを書いておきたいと思います。
まずは以前のコラムでも書いていますが「地震で絶対壊れない家はない」ということです。
建物は単独で存在しているわけではありません。地面の上に乗り、そこには上下水道、ガス、電気などのインフラと接続されています。また、道路と面し、宅配便等で通販商品が届くなど社会と接しています。よって、建物が無事であっても、そこにたどり着く道がぐちゃぐちゃになっていたら孤立してしまい生活を維持することが困難です。また、各種インフラが途絶えてしまっても同様です。さらに、隣のビルが倒れてきた、火災が発生した、津波が発生したとなるともはや防ぎようもないことさえあります。よって、シェルターのような家にして建物自体の被害はなかったとしても、「生活する」という視点では「住む」ことが難しくなることが多くあります。よって、建物は人間関係と同じく様々な関係性の中で存在しているわけです。
よって、私の個人的な意見ですが「強固な建物を作ればOK」というよりも、「住む場所/近隣住民との関係を大切にしながら許容応力度計算をした家を維持管理して住む」ことをいつもお伝えしています。耐震等級は私は許容応力度計算をしていれば1であってもベストではないですが問題ないと考えています。
動画でも話していますが、メンテナンスも重要です。すごい頑丈な家を作っても経年劣化により欠陥箇所ができてしまうと、耐震等級が高くてもそこを中心に一気に倒壊してしまう可能性があるからです。
1・自宅周辺の地盤の特性を知る
自身の土地の地盤調査結果をもう一度見直して、隅々まで読んでください。地耐力の他にも地層についても書かれています。もちろん、活断層の上は何をやってもだめですし、新築で土地探しをするときは液状化する場所や、表層地盤増幅率が高いところは極力避けたいところです。とはいえ、もともと住んでいた場所がそうだった場合は、周囲地盤の特性を知り、リスクを意識しておくことです。わからない単語はAIに聞くと詳しく教えてくれますし、解説動画も今ではたくさん出てくると思います。
知っておけば、有事の際、どうすればよいかわかるはずです。
2・自宅の特性を知る
許容応力度計算をしていれば必ずお手元に計算書があります。それをこれを機会にご自宅を作った工務店やハウスメーカー、設計者にそれを説明してもらってください。まずはどの法律基準で作られたのか、そして、その基準に対しての安全率を把握してください。さらには、「ここが一番弱いので、壊れる可能性をあえてあげるとすればこのあたり」など解説してもらうと寝室の位置を考え直すきっかけになるかもしれません。また、短い周期の揺れ(ガタガタと短く振動する地震)に弱いとかマンションであれば長い周期の揺れ(ゆっくりとゆーらゆーらと大きく揺れる地震)に弱いとかもわかります。そういった知識があれば、どこに逃げるのかの判断できるはずです。自宅が頑丈そうであれば「不用意に逃げるよりも家のこのあたりにみんなとりあえず集まる」などもわかることでしょう。ただし、隣の家が古ければそれがご自宅に倒れ込んでしまえば意味がないのでそういったことも把握しておくとよいですね。
3・近隣住民を知る
地震での死者は近年「直接死」よりも、「災害関連死」のほうが多くなっています。よって、地震の直接な被害からは逃れても、孤立してしまえば生き残ることはできません。近隣住民との関係の中で情報を共有し、補い合い、助け合いながら共に生きる方法を探していくしかありません。家の前を掃除する、目が合えばご挨拶する、そういった小さなことの積み重ねが最後は重要かなと思います。
まずは「知る」ことです。危機感があれば直そうとしますし、修繕計画を考えます。弱いところを知れば、危険なところには近寄ることはありません。すべての建物を強固にすることはすぐにはできませんが、「知る」ことや近隣関係を築くことは今からでもできるのではないかと思うのです。
商品を買うのは一瞬ですが、どの商品を買うかは皆様時間をかけて迷われますよね。アマゾンとかで商品を検索すればすごい量が結果にでてきてしまうので、「性能やデザイン、価格」などのバランスから一つの商品を選び出すわけです。それと同じです。その商品についての特性を知り、比較、検討するのは建物も同じです。詳しくなければ色々と調べたり、人に聞いたり、家電芸人のおすすめを見ますよね。建物についても調べたり、専門家にぜひ聞いて、沢山の知識を得ていただくのが私は何よりも大切だと思っています。
私もできる範囲でご質問等にはお答えしますので、お気軽にお問い合わせください。
