餅つき 2004.12
先日以前私が助手として働いていたところでお世話になった方の家で餅つきをしてきました。
おかげで31の僕には筋肉痛におそわれたのですが、とても素敵なハレの場ができていました。
集まったみなさんはホスト役の様々な知り合いの方で、ご近所の人から呼ばれた人の恋人の弟までと実に幅広い方々が集まっていました。僕が知っている方は1.2名であとは初めて顔を合わした方々ばかりです。普段どういった仕事をしていてといった素性は全く知らないまま餅つきはちゃくちゃくと進んでいきます。
何がおもしろいかというと、この全く知らない集団のなかで餅つきをしていると同じ汗をかくというかそういった共同意識がでてきます。別にプライベートな話をするわけではありませんし、「握力がないよぉぉぉーーー」なんて言いながらひたすらこねたり、ついたり、つぶしたりをしているだけなのですが、なんだかみなさんを昔から知っているような感覚となりますし、大家族のような感覚におそわれていきます。僕よりも年上のベテランの方々は僕たち若者にどうやったらおいしい餅がつけるのかを伝授してくれるし、周囲にはドンドンと臼をつく音が心地よく響きますし、薪で炊いた餅米のおいしい臭い、煙の臭い、そんなちょっとハレの風景がとても素敵でした。
その後はつきたてのおもちを様々なトッピングでいただき、おいしいお酒や料理に囲まれながら過ごしました。ほんとつきたてのおもちっておいしいですよ。キャンプファイヤーのカレーみたいな感覚もあるかもしれませんが、あの味でまた来年もがんばらねばと思わせてくれます。最後にはおみやげとして自分も含め皆さんで汗流してついたおもちをいただきました。
こうやってハレの場は家族や共同体の一体感を高め、技術は伝承していくなかで役割は変化し、みなで食卓を囲ませてくれます。男は餅をつき、女の方は共同して様々なトッピングや料理の下ごしらえをしてくれています。ここでもきっと教え、教えられの関係があり、料理という媒体を通して全く知らない人同士の関係が生まれていっていることかと思います。
家族とか、隣近所の関係とかそういったことが希薄になる昨今、昔ながら続くこういったハレの場は見事にそれらの問題をごく自然に解決している気がしました。毎日顔を合わせなくてもどこかでつながっていればいざと言うときは助け合えることでしょう。そんなきっかけを作る場がここにはあったなぁーと。
杵と臼を用意して餅をついたりするにはもちろん準備がいろいろとあるので自分の家庭で食べる量だけをついてももったいないので、みんな集まってすべての家族分をつきます。だから今回は9臼つきましたね。
つまり正月おもちを食べたければ、忙しかろうが何とか予定を調節して結婚式のように何とか皆が一同に顔をあわせるわけです。子供は喜んで餅をつき、若者はちょっとカッコつけて無理してがんばったり、ベテランはこね役に徹したりするわけです。
こうした機会を与えてくれるホスト役は準備は大変だし、お金ももちろんかかりますがそれ以上に私たちに貴重な場を与えてくれているなぁーと改めて実感しました。ぼくもいつかこんなホスト役になれるといいなぁーと思いましたね。
日本がすでに持っている伝統に改めて脱帽です。