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自由学園明日館 2005.01

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近代建築の巨匠としてあげられることが多いフランクロイドライトは一度は耳にしたことがあるでしょう。
NYのグッゲンハイム美術館や落水荘など代表作も多く、わりとなじみがある方も多くいると思います。ライト本人も大の親日家で、初めての海外旅行先に日本を選んだり、ライト建築はアメリカと日本しか建ててないこと、また浮世絵の収集家ということからも日本を愛してくれていたことがわかりますね。
日本で現存しているライト建築は池袋徒歩10分弱にある自由学園明日館と、愛知県犬山に保存されている帝国ホテルの一部のみです。ぼくはいままでアメリカに行ったことがなかったので自動的にライトにふれる機会はなかったのですが先日自由学園明日館にいってきました。
婦人の友社を設立した夫婦が自分の子供を入れたくなるような教育機関がないことから、自分で学校を作ろうとしたときの校舎で、ライトの弟子である遠藤新に設計を頼んだところたまたま帝国ホテル建設のため来日していたライトと共同で設計をすることになり、1921年にできた建築のようです。
かなり老朽化が進んでいたが1997年に重要文化財に指定されたことをきっかけに3年かかって大規模な修復を行って、今は見学することができるのです。
建築そのものはもちろん素敵なのですが何が良かったかというと「動態保存」という修復にあたっての考え方でした。文化財を稼働させながら保存するという意味で、見学機能だけではなくそこをレンタル施設として利用していこうという考え方だ。
ここは元々自由学園という学校だったので教室と講堂、食堂などがあるので会議などでも使用できるし、ケータリングをすることで結婚式、同窓会など様々なイベントに使用されているのだ。結婚式をここでするなんてなんて素敵だろうとぼくも利用したいと思っていたら、予約している人が二人で申込書に記入していた。
重要文化財というとどうしても傷を付けてはいけないとか、保存に目がいくがそれだけでは建築が単なる「絵」となってしまう。建築とは人に使われて、人の様々な行為を包み込む空間となって初めて意味があるのではないでしょうか?だからこういった保存の仕方は建築家にとってもうれしいだろう。使われることで同時に利用者はこの建築に愛着を持ち更に大切にし、手を入れてくれることだろうと思うのだ。こうやって建築が使われ続けながら修復されながら生き延びていくなんてなんとすばらしいことだろうと思いましたね。
建物はやがて朽ちていく運命を否定することなどできないし、その宿命を受け入れるべきだと思います。
ここの見学料金には喫茶付きといって600円で飲み物と手作りクッキーを実際のライトの空間でいただくことができる。これも素敵です。実際に建築を感じるにはなるべくそこにたたずむことだと思うのでお茶を飲みながら空間を堪能する事ができるのは何よりの見学方法ではないだろうか。
あー僕も設計した建築でこうやって愛され続ける家になるような設計をしないとね。
ライトさんがんばりまっせぇーーー。

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