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まど 2004.12

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もうすぐクリスマスですね。
クリスマスというと建築関係者の20代.30代の方は割とデリケートな時期です。
というのは一級建築士の2次試験合格発表の日なのです。今年は少し早く21日ですが、たいていいつも24日とか25日なんですよ。めっちゃ素敵なクリスマスを過ごせるか、めっちゃブルーなクリスマスになるか非常に大きな問題です。この資格ですが1次試験がマークシート方式で7月にあり、それをパスした人が実技試験の2次試験を受け、合格するとはれて一級建築士となれるわけです。
1次合格して2次で落ちると来年は1次パスして2回目の2次試験を受験することができるのですが更に落ちてしまうと・・・振り出しに戻るのです。
僕は実は1度2次試験を落ちてしまい、2回目の2次試験で合格したというほんまぎりぎり人生でしたので去年のクリスマスがうれしかったことを思い出します。
さて、そんなことはさておき、今日は窓についてちょいと考えてみましょう。
建築家としては窓は僕たちが扱える少ない要素の大切な部分です。とてもとても奥が深いアイテムです。
今回はその窓の中でも見る、見られるというわかりやすいところを連載の1回目としてみましょう。
今僕は団地の中を歩いています。寒い冬であるにもかかわらず、暖かい日光が指しているにもかかわらずなぜかカーテンやブラインドがびっちり閉まっています。中に人はいないのかいるのかもちろんわかりませんがなんだかついつい閉めてしまっている家が多いようです。下手したら閉めっぱなし・・・・・
せっかくの窓なんだから開けておけばよいと思ったりするのですがやはり「不用心」「見られてしまう」という恐怖心がどうもそういった窓を閉ざしていく方向に行ってしまうようです。
うーーん、残念!!!と僕は思ってしまいます。
もちろん夜になると室内の方が明るいので暗い屋外から簡単にのぞかれてしまうので閉めたくなる気持ちは僕も同じです。ただ、昼は逆で屋外の方が明るければ室内はほとんど見えません。ただ室内にいる人にとっては室外の方が明るいのでよく外が見え、そのせいか「見られている」という意識が過剰になってしまい、ついついブラインドを下げさすのでしょうか?
でも、よく考えてみてください。誰もそんな人の家の中をじっと見ないでしょう。
それより窓を閉ざすことで失っていることはないのでしょうか?
外なんて見るに値せずテレビやインターネットに釘付けの人も現代は多いのですが、ちょっと休憩しておいしい紅茶でも入れたりして香りを楽しみながら閉じたブラインドを開け、外を見てみてはいかがでしょうか。今なら冬ならではの雲一つない空模様が見えますよね。葉の状態も、風で揺れる木も、下校中の小学生の姿も見えるかもしれません。ボーーーっと見ているといろいろと発見できますよ。そう、テレビやネットで疲れた目を癒すのもいいかもしれません。
日本は世界中で一番多く雲の状態に名前を付けた民族らしいです。いろんな季節にみせる雲のかすかな変化さえも気づきそれに名前を与えたのです。これって素敵ではないですか?
「あの雲の形の名前は・・・だよ」っていえるパパになりたいものです。(そんな本が出ています)
また、視点を変えます。防犯を考えるなら窓を開けた方が良いかもしれません。隣近所みなが窓を開けていると隣に進入する泥棒に気づくかもしれません。また、下校中の小学生をさらう変な男に気づくかもしれません。閉じた家の中に一度はいると何が起こっても全く外からわからない状態を自ら招いていることが多いのです。各々が閉じこもってしまう団地ほど誰も何も事件を見ていないことが多いのです。
ほんとの防犯というのは窓と心を閉ざすことでは解決しないと僕は思います。いくら防犯技術が発達しても隣近所の監視や家が開いていることより強力なモノはないです。
窓を閉ざしてテレビばかり見ていると実は心が貧しくなってしまうかもしれませんよね。
刺激的なテレビやネット情報ではなく緩やかな変化を読みとるほうが実はとても難しいのかもね。
そういったことで、僕はよく部屋の一番高いところに横に長い窓を付けます。外から見られないし、見られても天井だけ、室内からは微妙に移ろいゆく空だけが見えるから、ブラインドなどしなくていいかもしれないと考えて設計しています。
とはいえ、残念!!!。気がつくとブラインドがついて、一日中閉めっぱなしなんてことも多いのが現実かもしれませんね。うーーん、そんなことならないような設計をできるようがんばらねば!!
台風あけのそらです

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