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結構閉鎖的なんですよ 2005.02

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先日(といっても10日以上前)に「建築知識2月号」に執筆した人たちで、建築知識編集部が打ち上げの席を設けてくれました。
2月号の特集の中で執筆していた先輩方3名と知識の編集長、編集部の担当者、僕という6名で神楽坂にある「志満金」で行われた。これは第1章を担当されていた水澤工務店さん施工によるものです。ここでこの建物の感想は避けますが、僕たち若者が普段接しない素敵な世界が広がっていました。またこの話は次回にでも。
2月号と言うことで、追い込みの時期が年末年始となり、原稿チェックを12/31とか1/2とかに電話や山のようなファックスをいただきながらやっていたのでその分ちょっとはおいしい物でもと思い、早めに仕事を切り上げて行ってみました。とはいえ、僕は照明の福多さんと共著だし、僕以外の皆さんは20ページ以上は執筆していたので苦労の量は比較にならないのですが・・・。
「建築知識」という雑誌があるのですが主に建築設計・施工をやっている実務関係者が知識を共有したりするための専門書でして、マニア向けにできている物です。ぼくはどこの設計事務所でも修行せずにこうして独立しちゃってるものですので、かなりお世話になっています。限られた誌面に満載の情報量で、何回も読み直したり、今でも参照する特集号はいくつもあります。そんな僕が執筆するという逆の立場になってしまっちゃいましてすこし恐縮しているのですが、こうして独立が続けられているのも諸先輩方が雑誌に経験を図面入りで公表してくれたおかげですのでその恩返しをしなくてはいけないと思い、がんばって書きました。
僕は照明設計者福多さんとの出会いが早かったので、最初から間接照明を多用した住宅や店舗を設計してきまして、そのノウハウをもう包み隠さずすべて書いちゃっています。失敗しながら学んできたことや割り出した寸法などをみんなにあっさり教えちゃうのは正直「もったいない」感がなくはありません。がんばって手に入れたノウハウですからね。
確かにこの建築業界みんな隠しまくりです。設計事務所の図面は勤務した人間でさえ自分の担当した物件以外は持ち出すなと言うところがほとんどで、門外不出感が依然として根付く業界です。
でも、よく考えると建築は技術や細部のテクニックだけでできているのではないと思うのです。どんな空間がふさわしいか、どんな生活が営まれるかを考えたりすることが一番大切なことではないでしょうか。
確かに「神は細部に宿る」といわれ違う素材同士が交わる接点をどのように納める(見せる)かは大切です。それらの集積が空間を形作るのですから。だから建築家に設計だけ頼んで、監理を工務店任せにするともう同じ間取りでも全く質の違う物ができますから、その点もよく理解できます。
ただ、部分は真似できてもそれらの集合体の「空間」とするときの細部の組み合わせ方は様々です。いろいろな細部のまねを繰り返してできた空間がよい空間とは限りません。ぼくの間接照明の記事でもそうですが、この状況ではこの方法を選択しただけであって他の場合にこの方法がベストかどうかはその都度選択し、吟味します。
僕たちは常に進歩すべきです。技術を隠して同じ間違いを若人にさせるよりも、教えてあげて、更にその技術を洗練してもらえばよいと思うのです。みんながそういった情報を共有していくことで、建築業界に「雨が漏らない」といったような質が上がればよいかなぁーと思うのです。「建築知識」のような雑誌が増えたり、お互いで相談しあえる設計者の集まりがあったりするとみんなの質が上がって消費者もうれしいのではないでしょうか?
そう「あなたの建築は簡単にまねされる物なの?」ってことなのです。
というわけで、僕は全部公表しちゃいました。それは他の執筆陣もそうだと思います。そんな温かい心を持つ執筆陣と過ごした時間はとても楽しい物でした。
設計事務所は5人以下の少人数でやっているところがほとんどです。しかもその中で閉じがちで他の事務所とは割と交流がありません。特に違世代はまったくです。この打ち上げの機会に40代の経験豊富な諸先輩方とお会いしていろいろと聞いていると大変ためになります。「こんな施主からは仕事を受けるな!!」とかね。
なるべくオープンにしていろんな方と交流できたら楽しいなぁーと思ってます。
中野区の設計事務所の人情報交換しませんか?

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