BLOG ブログ

  1. トップ
  2. ブログ
  3. 建築文化

建築文化 2004.12

一覧へ戻る

みなさん「建築文化」という雑誌をご存じでしょうか。
彰国社という建築関係の書籍ばかりを扱っている出版社の看板雑誌として長年刊行されてきたのですが残念ながら休刊となるようです。「建築文化」は学生の頃からあこがれの雑誌でした。そのころは海外、国内問わず有名建築家が各号特集され、紙面デザインも大胆で一昔の骨太の雑誌という雰囲気を漂わせ、かつ内容は非常に濃かった。多木浩二さんとか実に様々なメンバーが作家論等の論文を書いていて、ちょっと僕には理解できない文であふれているような雰囲気を持つ本であった気がしている。だから雑誌といっても読んだら捨てるような流行を追っている部類ではなく、将来も時々見たりできたりするような密度のできだったと思っている。僕は伊東豊雄、象設計集団の号や、レム、ジャンヌーベルなどの号を学生のなけなしのお金で購入し、きちんと最後まで読んだ記憶があるし、今もきちんと所持している。
その意識のまま大学を卒業し、今度は掲載していただける立場となった。売り出し中の建築家として(いまもですが・・・)できあがった建築をまとめ、「掲載を検討してください」ということで15社程度いろんな雑誌に送付したところ、カフェサンチェを取り上げてくれるという連絡が「建築文化」からあった。あれは本当にうれしかった。学生の頃にあこがれていた雑誌に自分が載るのだから。うきょうきょ言っていた気がする。和木さんという有名な建築写真家が撮影してくれるというし、心踊ったものだった。
しかし、雑誌の中身は少し変化していた。社会人となってからは建築細部の図面集など実務的なところに関心がいっていたので「建築文化」などはゆっくりと購入してみる機会は減っていて、掲載されるとなった頃に図書館に行って割と昔まで一通り見てみたが、なんだか昔の崇高さは消えていた。若手建築家、若手評論家が集う場所になっており、今風な議論をしている雑誌となっていた。毎号いろいろな意図を持って編集をしていたのだが、書いている人は毎号同じで僕のように建築をそんなに作ってもいない若手建築家ばかりで、なんだか物足りない。「ずどん」とこないのだ。つまり買いたいとは思えない。家でゆっくり正面向かって読もうとは思えない感じがあった。建築雑誌の限界を超えるため映像を用いて建築作品をCDROMにて見られるようにしたりとかがんばっていたのだが、、、、、
僕の仕事が掲載された「建築の発明」というタイトルも興味をそそるタイトルで、このコンセプトで取り上げていただいたことに大変喜んでいたのだが、同誌面には正直大した作品は掲載されていなかった。若輩者の僕たちの建築が割といい線行っているんじゃないのなんて勘違いしそうな感じである。
とはいえ、悲しい。建築の一つの歴史が終わったような感じがする。
あの掲載によって皆は僕のことをちょっと認めてくれたりしたし、編集部の方も僕をきちんと建築家として扱ってくれて原稿料もいただいた。プロだという意識が芽生えるきっかけにもなった。
確かに今はあふれるように建築雑誌がでていてなかなか専門誌が生き残りにくい時期であろう。ぼくも応援するならもっと買っておけば良かった。というわけで、今月号は買おう。

CATEGORY

YEAR