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多摩美術大学造形表現学部デザイン学科 2004.10

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に僕は助手として4年勤務したのだが、最近卒業生と話す機会が何回かありました。便器の人とか、カメラの人とか、伊右衛門な人とか、化粧品パッケージの人とか、キャンドルな人とか映画の撮影の人とかいろいろいます。
みなさんがんばってデザインのお仕事をしていて、すげーよ。ほんとにデザイナーの卵からデザイナーになっていましたよ。いろいろとお仕事のお話を聞く僕はおもしろいです。
フリーという立場は企業とはかなり違うところがあるので社会勉強というか、こうやってデザインのお仕事は世の中でまわっているんだなぁーとね。
最近不景気のせいもあるのでしょうがどうもインハウス(メーカー内部にいるデザイナー)のデザイナーが少なくなってきているようですね。また、デザイナーはやめていく率が高いのかデザイン関係の人は全員契約社員扱いとなってしまうとか、企業とデザイナーとの関係も変わってきているようです。
ぼくはこうしてフリーとしてなんとかやってきていけているので、とても幸せなのですが僕が一番フリーで心地よいと思っていることは「施主(お客さん)との関係がある程度対等に保つことができる可能性がある」と言うことです。
「お客さんの指示(要望)は神の啓示」ということでそれに反論をしてはいけないし、上下関係ははっきりしているのが通常ですがそうすると物事の善し悪しの判断ができません。もちろん「なぜそうなのか」が理解できればいくら条件がきつくてもその中で発揮できるクリエイティビティーがあるとは思うのですが、施主や上司などの意見も無条件で受け入れざる得ない環境(状況)というのをなるべく作りたくないと思っております。意見を言い合うことは僕は健全だと思うし、「なぜそうなのか」をお互いで話し合うことなしに物事が決まっていくこと自体が怖いのです。
「僕たちは建築や空間のプロです。だから要望はお聞きしますがすべて厳守するということではありません。いただいた要望(素材)を料理したいと思います。ダメであればまたその経験を生かしてもう一度考えます。それらのやりとりの中で一番あったものをつくりましょう」
こうして命令される立場的な場所にたたないようにしています。
デザイナーも独立した存在であることでよい効果が出てくるかもしれません。企業と対等であれば意見もいいやすいでしょうし、話し合える可能性があります。外部のデザイナーをいれることで新しい考え方がでたり、契約社員となることで緊張感がでる。そうやってデザイナーが仕事をする環境の整備ってとても大切だと思いますね。
だからどこかの「下請け」だったりするとこちらは制作だけで直接クライアント(依頼主)と会うことができないような仕事はやりたくないなぁーと思っています。
でも、いろいろと話を聞いているとデザイン業界は電博さんの威力がすごいです。動くお金が多いというのもあるのですが。そうなるとでかい仕事の制作関係は下請け的な立場とならざる得ないのでなかなか大変だなぁーと。建築業界はあまりないのでその点幸せです。とはいえ最近建築でも建築家を紹介する企業が増えてきて代理店な感じが増えてきていますね。
なんだかデザインを取り巻く環境もすこしづつ変わりつつある気がしますね。
ぼくも多摩美では授業を担当しちゃったりしていたので、卒業生がどうなっていくかとても楽しみです。負けないようにしないとね。フリーになるコツは「やり続けること・継続」しかないとおもっています。

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