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多摩美術大学図書館 2007.06

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もう一ヶ月以上経ちましたが、多摩美術大学図書館(八王子)に行ってきました。相変わらず長い文章なので、連載方式で行きます。
新しい作風となってきている伊東豊雄さんが設計したものでして、その一歩を感じさせる素晴らしい建築でした。ほんと久方ぶりに傑作に出会えた感じです!!
まだ一般の方は入れないと思いますが、7月からは一般にも公開していくようで、大学がこうして地域に開いていく姿は素晴らしいことではないかと思います。
まずは簡単に概要を。工事中の定点観測はこちら。
地下1階地上2階建てSRCの緩やかな曲面の外壁を持った変形した四角い建物でして、地下1階は閉架書庫、1階の半分はエントランスホールとして開放的なギャラリーがあり、残り半分の図書館内はオフィスとDVD等が見れるメディアバー、各国のデザインやアートに関する雑誌が見られる閲覧室となっています。
1階の北側半分は地面に沿って床も緩やかに傾斜しています。約1/20程度のスロープで、その傾斜に従ってデザインされた什器が並びます。(特に椅子は柱脚部が風船みたいになっており斜面に対応しているのがすごい。家具は藤江和子さんですが、どこの什器までがそうなのか不明です)2階は開架書庫と本の閲覧室になっています。
入口をくぐると緩やかに傾斜する事にまず驚きます。建物の絶対条件でもある水平が確保されていないことで天井高さの変化が自然とでき、みんなが向く方向が自然と下り方向に規定されていきます。
また、なんだか身体が不安定なので、椅子の高さを変えたり、いろんな目線位置が同じ空間にあったり、身体が不自由さ感じてしまうことが良いのかもしれません。床全体が緩やかに傾斜しているのはちょいと不思議な体験です。
次に壁がありません。そのためすごい開放的です。(天井もとても高いのですが)
建物には地震力に対抗するため通常壁が必要ですが、それが全くないので空間的に全てが連続しています。配置されている家具も背の高いものがないので、至るところ見渡せるようになっています。バックヤードとなる図書館の司書さんがいる場所まですべて見渡すことができ、天井までの壁で隠すところがないという建築と用途が持つ明るさ(無邪気さ、公平さ)を感じさせます。
一番時重要なところが今回構造にもなっているアーチ状のめちゃうすい壁(柱)です。アーチの脚の部分(柱)は不規則な網の目状に柱が落ちているので、アーチの形状(比率)も変わっていたりするのですが、そのアーチによる空間の分節が何とも気持ちよいのです。不均一なリズムでアーチが空間を横切っていくのですが、歩いているときには視線をちょっとだけ遮っていく感じや、その場にたたずむときにはアーチによって微妙に囲まれている感じとか、とにかく心地よいのです。建築が持つ不可避でかつ不自由である構造を逆手にとってうまく意匠と機能的に利用していると感じることができました。
素敵っす。(次回に続く)

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