地鎮祭「小平の歯科医院」とストック利用 2013.12
9月より設計を進めておりました東京都「小平の歯科医院」の地鎮祭が先日のクリスマスイブに行われました。
朝のきりりとした冷たい空気の中、工事の無事を祈って地鎮祭を終了する事が出来ました。
今回の敷地は南側には近接した住戸、東側には6階建てのマンションがあり、一階には西日以外四季を通じて直射日光が入らない状況でした。採光をどのように確保するのかを検討した結果、「空の見える歯科医院」として提案しています。どんな建築物になるか5月中旬にはオープンする予定ですので、楽しみにしておいて下さい。
今回の計画は最初は中古住宅を購入して増築とリフォームをしたいというお話からスタートし、紆余曲折があって新築をするという話しになりました。たまたま築10年のこの中古住宅は完了検査を受けていない住宅だったので、増築したりするには構造を含め現状法規に則して建っている事を証明しなければなりませんでした。それではじめて、増築の確認申請を受け付けるというわけです。
現状の確認申請においては二階建ての木造住宅などは「4号建築」と呼ばれ確認申請を簡略化されて審査されています。もちろん建築基準法を満たすのは当然ですが、ある部分は「申請書に記入しなくても満たしてあるはず」と考えるようになっているのです。つまり確認申請の代理人である建築士の良識にしたがって当然法規を満たしていると国から信頼されているのです。(簡略化された部分はおもに単体規定と呼ばれるもので、住む人に関わる問題です。廻りの人に迷惑がかかるような部分(集団規定)はきちんと審査されます)
簡略化されている部分に構造計算などが含まれ、基礎の配筋などは申請書類には書く必要がないのですが、そういった簡略化された部分もすべて法規に沿っているか計算や実験等で確認しないと適合証明書はだせないと言う行政担当者からの指導でした。
となると、基礎の配筋やコンクリート強度を調べる為に非破壊検査やコア抜きしての試験をしなくてはなりません。また、耐力壁を調べるのも解体をする半分とかではだめという指導で、100パーセントチェックして写真で提出しなさいというのです。
既存住居を造った工務店にあたったら、基礎ではきちんと施工されているであろう書類(ミルシートやコンクリート配合書)や、プレカット図面の書類が残されていたので、それをもって役所に行って、これらの書類で検査を省く事は出来ないかを聞いたら「状況証拠だけでは駄目」という判断もされてしまい、結局とことんまで検査をしつくさないと駄目という事になりました。
これがそれなりの大きな建物であればきちんと検査をする費用を考えても新築するよりは安いというコストメリットもあるとは思うのですが、二階建ての木造住宅ともなると検査、検討費用を考えるとコストメリットが出なくなってしまいます。
そうなると新築と価格がほぼ変わらなくなってしまい、少し不自由な中古を改装、増築するよりは新築が良いと言う流れになるのは自然でした。そうして結局は解体して、新たな建築を作る事となったのです。
そうなったからには私たちもよりよい建築を作り、末永く使って頂けるような室の高い建築を目指して今後工事監理を頑張りたいと思うのですが、もう少しこれらのストック利用を促進するような法の整備をするべきだと感じた出来事でした。
この辺りはOpenAの馬場正尊さんの国土交通省への働きかけをしてくれているようですが、その後進捗しているのでしょうかね。