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別荘設計 2007.06

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今日は別荘の設計をするために敷地調査に行ってきました。東京から車で2時間走るとそこは標高1000メートルを超える緑あふれるリゾート地に到着します。写真のように様々な樹木が生い茂っており、そこに何かを作ると言うだけで罪深さを感じられずにおれないような気持ちよい林の中に今回の敷地はあります。とはいえ、そんな樹木に囲まれながら住むことを考えるとわくわくするのも正直なところで、今回設計する建物はなるべく自然の中にひっそりたたずむような感じで造ってみたいなぁーと思っています。敷地をなるべく歩くことで敷地内の距離感覚や光の方向、段差の感覚などを感じようと思って歩いていたのですが、なんとも落ち葉の絨毯の気持ちよさが足裏を刺激するのです。枯れた枝などが折れる音と共に、柔らかな腐葉土になった土が弾力を持ってふわっと押し返す感じが都会では全く味わえない感触を足裏に伝えてくれます。
その後、地元で設計をされている建築家の方にこんな事を聞きました。
「以前敷地内に素敵な小川がある所に設計をしたのですがうまくいかず、違う設計士が設計をすることになってしまった。その後どうなったかと敷地を見に行って愕然としたのだが、工事業者が重機(シャベルカーやダンプ等のことです)で建物が建たない敷地内を走り回ったために小川とその周辺環境が壊れていた。あの環境を作るには30年かかるけど、壊すのは数日だ。是非そんな事が起きないように建物だけではなく敷地周辺の環境もきちんと監理をして欲しい。例えば、工事業者が車等で入る範囲をきちんと規制したり、不用に立ち入らない領域を明示したり、また、不用意に木を切らないように残す木にはすべて印を付けておいたりすることだ」
あの落ち葉絨毯は人の体重では何ともないと思うのですが、重機が通ればあのふわふわ絨毯はきっとぺったんこになってしまう。そうすると土に内部に空気が入らなくなってしまったりして、分解する微生物が死んだりすること等でそこに住む植物が生きにくくなってしまうこともあるでしょう。
以前見た、例のNHKのプロフェッショナルリンゴを育てている木村さんの回があった。
最近のプロフェッショナルでは傑作の回だと思うのですが、同じ事をその木村さんが話していたのです。リンゴの栽培には農薬が絶対に欠かせないというのが定説だったのですが、木村さんは一切農薬を使用せずに酢を使用して栽培しているようです。その方法をまねして酢を散布する方がいたようですが、その散布に大型機械(重機)を使用したらリンゴが狂い咲きをはじめたようです。つまりふわふわの絨毯を押しつぶしてしまったことが狂い咲きをさせる原因だという訳です。良い(おいしい)リンゴを育てるには自然のありのままの環境を人間が少し手助けしてつくり出し、リンゴの木が免疫力を付けながら育つことこそが何よりも大事と木村さんは言うわけです。その中で土の環境というのはとてもとても大きな比重を占めるそうです。
今日はそんな素敵な自然とどのように建物が折り合いを付けていくか悩ましい課題をもらった一日でした。

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