都内にある築40年のRCラーメン構造7階建てマンションの1室である2LDKのリノベーション。
クライアント家族の悩みは「整理・収納が苦手で、かつ扉で隠すだけでその内部は整理されていないので溜まっていく一方である」とのことで、新居ではそれを解決できる提案が求められました。そこで、空間の有効活用も含め「間仕切り壁=扉のない収納家具」とし、「モノ」で区切られる住宅としました。「モノ」は常にどこに収納すべきだという定位置をあらかじめすべて決定し、それに合う引き出しや収納ケースまでを細かく選定しながら間仕切り変わりとなる収納家具の設計を行いました。全体を覆う扉はないが、個々の「モノ」が収納される容器は各種揃え、「モノ」そのものが二重に隠される状態を極力排除するようにしています。
寝室とリビングの間の収納家具は洋服収納とし、子供の成長や生活の変化に応じて動かすことで各部屋の広さを変えられるようにしました。廊下と寝室の間の収納家具は裏板を部分的になくし、両側から使えるようにしています。収納の中に「モノ」が増えれば閉鎖的になり、服のサイズや色が変わればインテリアも変わり、響く音も変化する。そんな「モノ」と空間が響きあうような家となりました。
スマートハウスのように「モノ」の見える化で生活は変わるのではないかと考えたのです。