敷地は南側に接道しているいわゆる都心の狭小住宅密集地。前面道路の向かい側には4階建て、東側には3階建てマンションと建て込んでおり、1階への採光は1年を通して期待できません。そのため建蔽率最大の面積を確保したうえで、木造で法規的に可能な最大限の高さボリュームを確保し、皆が集まる場所としての「LDK」を採光・通風・パライバシー確保に有利な3階に配置しました。その3階は最大限の天井高を確保し、小屋裏収納としてロフト、大きな出窓を設置して極力広さを感じさせるような空間としました。その3階を生活中心として、共働き夫婦が効率よく家事が行えるように階段周辺にキッチン、水周りを配置した。1階は玄関と一体化した「土間スペース」を大きく確保し、各種収納や自転車やベビーカーを入れたり、TVマンであるクライアントの趣味部屋としても機能するよう自由な空間としました。将来的には工作教室、アトリエ、個室設置などに変更可能なよう建築的配慮は行っています。1階奥には家族共用のWICを設け、極力2.3階部分にモノが占める面積を減らして最大限活用できるように考えました。
3階の明るくて皆が集まる場所としての「LDK+ロフト」、そして1階の薄暗く沢山のモノに囲まれた土足の「土間スペース」という二つの異なる大空間が、年齢によって使い方を変えながらも共に美大出身であるクライアントが楽しく住みこなしてくれることを確信しています。