名東区の閑静な住宅地にある敷地は東西間口10m、奥行き24mの細長い形状でした。駐車場と庭を確保しつつ採光を得る為に住宅部を北側に、屋根付き駐車場を南側に、その間に庭という配置計画にしました。そうすることで生まれる道路から住宅までの細長いアプローチ以外を塀で囲い込み、隣地の月極駐車場からプライバシーを確保しています。塀は強固なものだけではなく、風が抜け、適度な距離感が保てる格子引戸も使用しています。
住宅部の一階はキッチン、洗面、浴室、トイレなど水廻りを集約し、家事行為がスムーズに行いながらも物があふれないよう収納や作業スペースを広く確保しています。また、庭には住宅から少し距離を取った「離れ」のような和室があり、いつか来るであろう親世帯の介護同居などを見越し、リビングから緩やかに看守れるようにしています。2階は北側の居室に採光や通風を確保する為に中庭のようなバルコニーを設けました。バルコニーに接した2階廊下は幅を広くして本棚を設置し、図書館空間にもなるようにしています。個室は確保しつつも、共用部を充実させることで家族が自然と集まってくるような家になることを期待しています。
基本設計は谷川寛と、実施設計と現場監理は永井巧太郎と共同で行っています。