小高い山を切り崩して出来たひな壇状の開発住宅地の一角にある住宅。敷地内には+4mの擁壁が北側に、接道は南側に-3mのレベルであり、既存で駐車場や階段などのアプローチ部分は完成していました。 周辺はまだ森の一部や生産緑地があったりと、のどかな風景が残っていたのですが、既に宅地開発の造成工事が近隣でも行われ、団地化が急激に進んでいるところでした。
クライアントは少しでも残る緑や畑の風景、斜面値の景色の良さからこの敷地を購入し、身近な場所に緑があり、マンション生活では味わえないすぐに外に出れるという事を重視していました。また、植物に接する仕事をしている事からも、外が極力近く感じられ住宅にできればと考えました。 具体的には敷地(庭)に触手を伸ばすように住宅をアメーバー状に配置し、外部に接する面積を増やしました。そうする事で各部屋の3面に窓を設置できるようになり、すぐに外に出たり、採光・通風などの自然の恵みを十分に享受できるようになっているのです。
「プライバシーが確保できる中庭」、「日光が降り注ぐ庭」など住居で分節されたが外部空間は環境によって違う個性豊かな庭となっています。トイレやお風呂、キッチンやリビングとこの住宅のどこからでも植物が目に入り、庭と共生するような生活がおくれるよう目指しました。