30年ほど前にミニ開発をされた住宅密集地の一角にあり、南東側で私道と接道している20坪の敷地。私道の反対側に3階建アパートが建っており、隣地建物との隙間も無く、周辺環境に対して容易に開ける敷地ではありませんでした。この環境下で採光を確保するため南側の四角いボリュームを切り取り、欠いた部分に開口を大きく設けて北側まで採光をもたらそうと考えました。しかし、採光の為の開口部がプライバシーを守るカーテンで常時閉まっていては意味がありません。そこで採光・通風を確保しつつ適度にプライバシーが保てるような半透明鉄骨スクリーンを設置しました。
内部は三階建てでありながらどの場所にいても家族の気配が伝わるよう、空間が途切れないスキップフロアを採用しています。空間自体が立体一筆書きのように階を超えて繋がっており、姿は見えずともお互いの気配を感じる事が可能です。違う階で家族それぞれが違う事をしていても同じ屋根の下にいるという安心感があり、階段さえも部屋の一部と感じるようになっています。
スクリーンを通して「周辺環境」と緩やかに繋がり、段差を利用して「家族」とも緩やかに繋がる、そんな住宅になる事を期待しています。