都心の大きな住宅地を三分割して出来た土地の真ん中に建つ新築住宅。東西約14.5m、南北約6.3mと細長く、接道する東の前面道路よりも約1.7m程高くなっている敷地条件を活かし、RC地下1階・木造2階の住宅としました。
敷地にかかる法規制は厳しく、第一種低層住居専用地域かつ第二種風致地区、建ぺい率40%、西南北の隣地と東の道路からそれぞれ壁面後退が求められました。さらに第一種高度地区のため北側斜線が厳しく、片流れ最大ボリュームを確保すると軒高が7mを超え、日影でNGとなってしまいます。そこで、高さ7m部分に登り梁を受ける大きな桁を入れ、それより上部を小屋組とすることで高さの制限をかわし、緑化による緩和を利用して建ぺい率を45%に、壁面後退距離の一方向緩和を使って建物を南に寄せるなどして、細長い敷地でも極力天井高が確保できるように計画しました。
2階は北側斜線に沿った6分勾配の屋根架構をそのまま見せ、耐力壁をまとめることで家族の集まるLDKを天井が高く、かつ壁のない自由な空間にしました。さらに隣地建物が迫る中、ハイサイドライトと道路側開口を大きく確保し、都会にいながらも明るく、開放感のある空間になれば、個室にいてもいつの間にか快適な2階LDKに皆が集まってくることを期待したからです。各種法規から建築形状が必然的に決まってくる都心部ですが、それらをうまく利用しながらも風が通り抜け、光あふれる場所がしっかりと住宅の中に確保できることに注力しました。