完成? 2004.08
津の住宅が竣工しました。
越谷の住宅でも私たちが作る住宅は竣工した時点で完成度は50パーセント程度です。
ガラスが多くて窓ふくのは大変だし、間接照明ばかりで照明器具取り替えるのに脚立買わなければいけないし・・・・・といったように不便なことも多いのです。
もちろん年に何度かは大変かもしれませんが、それによって得られる空間のよさはそれらの不便さをしのぐと感じているとおもい設計しています。
また、ある意味空間が投げ出されています。好きに使ってくださいというように。
メニューを出されたけど、前菜とデザートしか書いてなくて、メインは空欄で、「記入してください」ってなっているのです
変な間取りで玄関ないし、廊下がない。ここで寝てください、ここでご飯食べてください、ここで団らんしてくださいって間取りには書いてない。ここで暮らしてくださいよってことがまあ、決まっていて、住み始めて「どうしよう?」ってことから生活が始まる感じです。
なんとなくこう落ち着いてくるまで何年もかかるかもしれませんし、わりと遊牧民のように寝る場所をうろうろと季節によって変えてもいいような感じにしています。
そんな家を設計しているのです。
だから完成というのは、まあ永遠完成はしなく変化し続けるのですが、これから住まわれる建て主がせっせ、せっせと苦労なども伴いながら作っていくと思っております。
そういった要素があることが住宅ならではではないかと思っているところがあるのです。
住宅メーカーはいたれりつくせりです。すべてがクレームの嵐により淘汰され落ち着いた地平にできあがっているからです。でも、人間の欲求って使い勝手だけなのでしょうか?
豊かさってどこにあるんだろうか?そんなことをいつも考えます。
隙間だらけの住宅を埋めていってもらうにはそこに住む方の想像力も、工夫も、苦労も必要でしょうし、その分楽しみも、悲しみも、喜びもあることでしょう。
1年たっていろんな隙間が建て主により埋められ、カスタマイズされた姿を見るとどきっとします。すげぇーって。なるほどなぁーって。僕の予想なんてひょっと軽く飛び越えて素敵に住まわれていただいています。
喜んでか、苦しんでか、カスタマイズしてくれる建て主を見ると「よい方に出会ってよかったなぁー」とおもい、この建築も喜んでいることだろうと思います。
そんな住宅をこれからも作っていけたらとおもっています。