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今日のプロフェッショナル  2006.12

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僕はテレビを見て泣いてしまう。映画館とかですと人前なので泣けないのですが、一人でいるとぼろぼろと涙を出しちゃうのです。
(多摩美の卒業制作で悲しみの涙と、嬉しい涙と、感動したときの涙では涙の成分が違うという作品があって、なんだかその人間の多様性に感動したなぁー)
で、相変わらずぼくはプロフェッショナルというNHKの番組を録画してとっているのですが、今日は上山博康さんの回を再放送でやるようなので、是非お時間がある人は見て欲しいなぁーと思うお勧めの回です。もちろん僕は見たので内容は知っているのですが、とても尊敬できる方だとテレビを見て感じました。
自営業をやっているとリスクに直面する事が良くあります。リスクを引き受けずになんとか回避しようとすると、逃げ道を作ったりいろいろと小細工を考えてしまう事があります。インフォームドコンセントといって説明責任が僕たち専門家には求められています。きちんとお客さんに理解してもらった上で行動をしなさいということです。しかし、なぜかそれが一種の責任逃れ(リスク回避)の手段となっているとも言えなくはないのです。結局、専門家が客観的な説明をばかりをし、最終的判断を素人であるお客さんに委ねてしまうことで、その責任をとらないよという方法でインフォームドコンセントが使われているという側面もあると思います。本来であれば専門家であるプロが説明責任を果たした上で「この方法がよいと総合的に考えて思う。」と自らのプライドをかけて自分の意見を言うべきだと思うのです。素人にその場で説明した内容から判断を迫ったりするのは難しいのではないかと僕は考えるのです。
テレビに登場する上山さんはこういったところを正面からぶつかり、最終的には患者さんを安心させるように「任せてくれ」と言うのです。(詳しくはテレビで!!)
例えばレストランの場合。ノロウイルス感染を引き起こしてしまう原因を抱えながら仕事をする料理屋さんが気をつけて調理していたはずなのですが、残念ながら感染を広めてしまうこともあると思います。商売をやっている関係上リスクは避けて仕事を続けることはできません。とはいえ、それを怖がって食材を煮込みすぎたり、焼きすぎたりして食材のうまみを損なっては本末転倒となります。そのリスクを引き受け、味を損なわない上で何ができるかを考え、実践していくことこそ本当のプロといえるであろう。
例えば僕たち設計者の例で考えてみるとこんな感じです。
あるお客さんが「窓が大きい方がとても好きだ。光は沢山入った方がよいから最大限の大きな窓を開けて欲しい」と要望されました。しかし、僕たちプロはそれによって得られる利点と欠点をしっかりと説明をし「・・・・理由から好ましくない点のほうが多いので、したくない」とはっきりと返事をしたことがありました。お客さんは理由を頭ではなんとなく理解しているが、実際どれぐらい好ましくないのかまではよくわからない感じでした。お客さんとしては実際に建物ができてみて、その欠点を実感してみないと正直わからないというのが本音だと思います。また、設計者に自分の要望が聞き入れられないこともあり少し憮然としていらっしゃって最終的に「再度検討」というようになりました。
その後、その場にいた工務店の営業さんが僕に電話をしてくれました
「そんなん、お客さんの指示に従った方が楽やないか。それでお客さんは喜ぶんやし、実際その欠点で問題があってもお客さんの決めたことだからこっちにとばっちりが来ることがないで。逆に無理矢理施主を説得させて、窓を狭くしてできあがってしまい、後から窓を大きくした方が良かったと言われる方が面倒やで。」
なるほど、おっしゃるとおりだ。「お客さんの要望は神の声」だし、こちら側のリスクを全てお客さんに押しつけることができる。もちろん私どもはリスクを説明して説明責任を果たしているので尚更、こちら側には全く非はないということになります。
しかし、本当の幸せはそこではないと思うのです。仮にできあがって実際に生活をして苦しい思いをするとしたら建て主となってしまう。基本的に僕たち設計者を信頼して設計を依頼してくれたことの理由はそういった事に異議を唱えたりしても良い物を造って欲しいという期待があるのだろう。リスクを伴ってでもそれを引き受けたり、自分の信じた良い方法を信じて説得をすることが本当のプロなのではないかと思うのです。
上山さんがテレビの中で弁護士から注意して使うようにいわれた言葉「任せてください」をあえて使いながら、患者さんを安心させ、その信じてもらうプレッシャーの中仕事をする姿勢に僕は尊敬をします。
しかも、生死という取り返しのつかない医療の現場で実践している上山博康さんはとってもとってもかっこいい。

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