BLOG ブログ

  1. トップ
  2. ブログ
  3. 家はオーダーメイドでなくてもいいのか?2回目

家はオーダーメイドでなくてもいいのか?2回目 2024.07

一覧へ戻る

一回目は何と一年前、連載って書いてあるのに、、、、、すみません。やっと2回目に辿り着くことができました。
前回予告したように「パーツから選び始めたらめちゃ価格が高くなるのではないか?」
について書いていきたいと思います。

恒例の例え話から。
外食で安い!となれば「吉野家や松屋」とかの牛丼か、「丸亀製麺」、「マクドナルド」ですかね。それらの特徴を考えていきましょう。
好立地、狭い場所、長時間営業、メニューが少ない、ワンオペ可能、セルフ
みなさんが思いつく通りですね。好立地の狭い場所を最大限活用するために24時間営業して採算性を高めています。客席は隣席との間隔を近くして高密度にし、椅子も背もたれなどなくして長時間座れないよう、回転率が上がる工夫が随所に施されています。メニューもメインにトッピングでバリエーションを作るぐらいにして、作り置きできるものは極力して提供時間を短くし、かつ食品ロスも減り、大量生産・消費にてコストを抑えることができています。最後に一番コストがかかる人件費を抑えるため、研修時間が少なくてもすぐに現場に立てるために味濃いめとし、現地での調理を極力少なくしています。さらには注文から支払いまで全部スマホで済んでしまうので、深夜はワンオペでも乗り切ることが可能な仕組みを積極的に導入しています。

これを住宅に置き換えてみましょう。そう、ファーストフードは建売住宅と似ています。5件を一気に建てるとすれば並びの家はほぼ似たような設計にします。そうなると設計者に支払う金額は1/5近くにはなることでしょう。また、キッチン、外壁材、屋根材などは同じ商品を使用して、一気に作ってしまえばロスが少なくなり安くなるのは間違い無いでしょう。(メニュー少ないと同じですね)もちろん早めに買い手が決まればビニールクロスぐらい選ばせてもらえるかもしれませんが、それも強く主張しないとダメというぐらい流れ作業で施工が進んでいきます。人件費も同様です。例えば玄関のみのタイルを貼る職人さんは通常一件なら半日で終わってしまうのですが、移動やら準備やら片付けで結局は丸一日仕事になってしまい、施工費も1日分となります。しかし5戸あればどんどん隣に移って施行してもらえれば良いので、1戸あたりの手間賃は下がります。さらにはこうしてたくさんの物件を定期的にお願いしてくれるのであればタイル屋さんも安定収入が見込めるので、より単価を安くします。つまり人件費が抑えられるわけです。そして材料も同じもの(全く同じでなくても同じメーカー)を大量に発注すれば価格交渉はしやすいですよね。
そんなわけで建て売りは安く、早く出来上がるわけなのです。

次に注文住宅です。
住んでいる家の建て替えとか、土地だけを購入してその上に住宅を建てるなどの場合は、一般的には近隣の住宅展示場に行って、相談して進めていくパターンです。これは本当にピンキリの道へと進みんでいく長い道のりがあります。カタログやらHPでは坪単価が安く書かれており、そこには小さく「標準仕様で30坪2階建ての場合」などと注意書きがあると思います。「これは安い!」と思って住宅展示場を見にいくと、当然ですが標準仕様のものは一切無く、全てオプションで出来上がった素敵な家になっています。しかもそれらの仕様をオプションで選べれば良い方で、オプションでも選択できない、つまりいくらお金出しても住宅展示場と同じ仕様ができないことすらあります。展示場のたくさんいい空間を見た後で、現実的な自身の家の設計が始まります。外壁、屋根、床、壁、建具(扉のこと)、キッチン、風呂、トイレなどなど、既製品からたくさん選ばないといけません。何日もかけていくつものショウルームを回ったり、疲れてしまって「どれでもいいです状態」になりながら決めていかざるを得ません。とはいえ、こちとら素人かつ家づくりは初めてなので、迷走してしまうのは当然です。担当営業は「こちらも素敵ですね」しか言わない(お勧めして後で文句言われたら困るので、施主に決めさせれば文句が出ない)です。とはいえ、大量に選択に時間がかかってしまっても困るので、予算に合わせたお勧めセットメニューが用意されていることが多く、外壁材を選んだらセットで屋根もアルミサッシの色などが決まってしまう方式です。もちろん変えることも可能ですが、そこまでして他を選択するほどの経験もないので、「じゃあ、それで」となりがちです。でも実際はそれら候補の100倍以上は選択肢があるのが現状です。


しかし、この情報過多の時代、インスタなどで「こんな材料もあるんだ」、「こんなメーカーもあるじゃん」、ショウルームいったら「こんな便利な機能もついて、価格もそこまで違わない!」などなど選定中にもっとたくさん選べることに気がつく機会が増えてきました。そうすると「街中華の店で鮑(あわび)を注文する!」という変なことも、というのは冗談ですが、実は予算に合わせて勧められるもの以外から選ぶオプションがとっても曲者なのです。しかし、みなさん「一生に一度の家」、となれば前のめりにこだわりが発揮されてしまいますよね。奥様はキッチンに、旦那さんはお風呂に、お子さんは自分の部屋の内装に、などなど、一言わがままは言いたくなります。そうなると標準仕様から選び切ることはできなってしまいます。カタログを自ら取り寄せ、インスタでブックマークをし、ここだけはこの商品で!などが始まちゃいます。ハウスメーカー(HM)担当営業に聞くと、「価格は少々上がりますが、もちろんできますよ」とか、「当社ではそちらは難しいのですが、それに似たこちらをオプションでご用意しております」と笑顔で案内してくれることでしょう。そうなるともう完全に蟻地獄に入ってしまった蟻のように(笑)オプションの罠にハマり、自分が選んだという満足心とともにお財布の紐は緩くなっていきます。「一生懸命働いてきたんだから少しぐらいの贅沢は仕方がない」と。しかし、どんどん価格が、いやかなり上がっている!そうなんです。このオプションが高い(利益率も高い)のです。標準仕様のままですと目を引くために限界まで利益が落とされて安いのですが、オプションをつけるとどんどんHM側も製造メーカー側も利益率が高くなっているのです。(汎用品は利益率は少ないが大量に売れ、高級品は利益率は大きいが販売量が少ないが原則です)キッチンでもユニットバスでもそうですが、中級グレードは定価と仕入れ値が大きく違います。しかし上位グレードとなると定価と仕入れ値が近くなってくるのです。つまりグレードによって値引率が変化して少なくなるというわけです。消費者としては定価でしかわからないので、上記で書いたように、ショウルームで「思ったより価格差がない」というのはまやかしでして、値引率が違うので思ったより価格差があるというのが実際は正解のことが多いのです。


こうしてHMの作戦としてはたくさんのオプションを選んでいただいて、利益率がどんどん上がって嬉しいなというわけです。そんなこんなで安い価格だということで決めたHMでオプション三昧にするとかなりのお値段になってしまうのです。しかし、打ち合わせし始めてもう2ヶ月以上経過しており、引き返せない・・・。しかも、このオプション三昧ですが、既製品のみです。パーツを選ぶというよりは、セットものを選んでモリモリにしていくのでどうしてもそれぞれを合わせるとチグハグ感が出てしまうこともよくあります。結局、デザインをしっかりとやっていこうとするとどこかでフルオーダーで作っていかないと全体をデザインし切ることはできないというわけです。

最後に私たち建築家による住宅についてです。めちゃくちゃ細かいオーダーばかりですともちろん建売と比べたら高額となります。しかし、オプション価格で盛られた注文住宅と比べて建築家が設計した方が安くなることもよくあります。特に住○○業、〇水ハウス、〇化成などは何度か比較してこちらの方が安かったこともあります。もちろん工事金額が予算よりも高くなって減額することもよくあります。建築家は最低限の仕様とか、ルールもないので、思い切った減額も可能です。例えば、クローゼットはビニルクロスも貼らなくていいし、床もビニールで最低限にして、LDKは豪華にするなどです。そして建築家の作る家であればほぼほぼオーダー製作です。既製品から選ぶのではなく、パーツから選んで職人さんに作ってもらうのです。建具、キッチン、洗面所、浴室などを全てパーツから選び、一から作り上げます。もちろん作り付け家具も多く、その空間に合わせて全体を統合させていくことができるのです。フルオーダーメイドのスーツみたいなものなのですが、めちゃくちゃ高いわけではありません。というのは、パーツそのものは基本的にはそこまで高いものではありませんし、TVCMをマスに打つために広告費に何千万かける必要がありません。設計者などに特定少数に向けて営業すればいいからです。しかし、建具メーカーであれば、蝶番、レバーハンドル、ドアクローザー、戸あたりなどのパーツを組み合わせて、セット売りの商品を作り上げます。そうなるとカタログ、宣伝、ショウルーム、説明するショウルームスタッフ、在庫を抱えるなどなど間接経費が増えてしまい、それはもちろん価格に転嫁されていきます。
キッチンなどはよく家具工事として製作するのですが、ありとあらゆるものの中から選び、こだわりってもシステムキッチンの上記機種に比べたら安かったということすらあります。

つまり、ある程度こだわるならパーツから選べる建築家と一緒に家づくりしたほうがトータルでデザインができるし、さらには価格的にお得になることもあります。選びことを楽しんでいただけると、これほど家づくりが楽しくなることはないと思います。よって、「そんなことしたらめちゃ価格が高いのではないか?」については、「思ったより高くならへんで」という結論となるわけです。

第3回目も頑張るぞ・・・・・

CATEGORY

YEAR