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SHOP これから -道と森の未来-[exhivision] 2014.09

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主要用途:インスタレーション   所在地:三重県津市   
竣工:2014年9月   写真:DAIJIRO GOTO   
主要用途:インスタレーション   
所在地:三重県津市   
竣工:2014年9月   
写真:DAIJIRO GOTO   

CONCEPT

三重県県立美術館にて2014年9月20日~11月24日まで開催された「カミノ/クマノー聖なる場所へ」(世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録10周年記念)にミエケンジンカイの一員として出展したインスタレーション。メイキングを含めた動画はこちら。
熊野古道の背景としての森は、林業という営みの中で人の手が入り、維持されている森です。熊野古道の伊勢路が通る尾鷲の山は岩盤で形成されており、急勾配、多雨の地域でした。岩盤なため、木の根が横に張るヒノキがこの地の成育には適しており、多雨によって日照時間も少なく、腐葉土は流出しやすいので急成長しない点が特徴です。このような過酷な条件で育った尾鷲ヒノキは、密実な年輪を刻みながら成長するので良質な材となるのです。さらによりまっすぐ伸びるように1haあたり8000本という密に植林するのがこの地域の特色です。
適切な時期が来ると同時期に植林された木は一気に皆伐され、何もない山肌が見えるというショッキングな風景となってしまいます。しかしその後植林をされ、また新たなサイクルがゆっくりと動き出します。ゾーン分けされて植樹された所には同じ樹齢の木が育ち、パッチワークのようにも見えるこの風景が人の手が入っており、持続可能な森ともいえるのです。林業は下草刈り、枝打ち、間伐という作業を繰り返し続け、次の世代に受け渡していくようなとても息の長い産業である。その産業がつくる風景こそ熊野古道なのである。そこに注目し、切り株の太さに合わせた木の配置を3種類並べ、皆伐された風景を再現しました。
美術館エントランスホールに設置されたこの作品は、来館者に中に入ってもらい切り株に座り、ヒノキの匂いを嗅ぎ、道を作ってもらいながら森や林業の未来について思考したりする場になることを期待しています。会期中にはワークショップやアーティスト・トークの会場としても使用しました。

作品全景(階段より)
中に自由に入れる
床にはヒノキチップ
段差を極力無くすためにデティールも
切株は座れる高さ
拡大
全景(2階廊下より)