APARTMENT Nezu A Flat 2024.05

　都心に建つ9戸の5階建てワンルーム集合住宅「Nezu A Flat」です。間口が狭く、奥行きがある敷地のなかで、法的に必要な開口を確保しつつ間口を2等分して全住戸が前面南側道路に面するようにしました。最大限確保した南開口からは太陽光はもちろん、近隣敷地の大きな銀杏が見え、視線の抜けが狭さを感じさせません。さらに三面開口により風が通り、快適な住環境を確保することができました。

　高さ方向も最大限に活用しています。2～4階の階高は最小限として、狭い1階と広い5階は天井高3.5mのロフト付き住戸を実現させました。特に1階は敷地奥側の階段室に導くための共用通路があり、間口が3等分されてしまいます。そこで1階居室は半地下として天井高を確保してロフトを設置して住戸内面積を極力確保しました。なお、水回りは地上階として自然放流ができるようにしています。
　5階は他の部屋より0.5㎡広いだけなのですが、素晴らしい眺望と広いロフト、専用テラスでより広さを感じるようにしました。

　このように平面的にも断面的にもミリ単位の攻防を行いつつ、建築のディテールを削ぎ落とすことでミニマムの中でも広がりを感じる豊かな空間を目指しています。

　また、投資用賃貸マンションですがある程度の性能を確保しています。Low-Eペアの開口部、壁断熱は硬質発泡ウレタン(A種1H)35t、屋根は90ミリの外断熱と永く残る建築の質をクライアントとともに目指しました。

　動画でも紹介しています。