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2012.06

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 現在宮城県小牛田で工事中の住宅は着実に進んでおりまして、外壁の半分が終わりつつあります。今回の建築では軒を大きく出しています。軒というのはなかなか難しいものでして、日射負荷軽減など機能的に優れているのは間違いなのですが、ややもするとかっこ悪くなります。伊東豊雄さんがみんなの家で軒を出したり、切妻屋根形状とするのに葛藤があったという話しを講演会でしていましたが、なんとなく僕も安易に軒を出してしまう事の怖さがありました。軒を出すならかっこ良くないとという気負いがあったのです。

まず軒を出すと樋が軒先に出て来て樋を地面に降ろす為に縦樋を外壁側に引き寄せるために空中に水平方向の樋のシルエットがでてきます。それがかっこ悪い。そこにどうしても野暮ったさがあると思っており抵抗感がありました。
更に都会ですと敷地境界近くで軒を出すと軒裏を防火構造にしなくてはならず、軒裏をケイカル板とかでのっぺりと覆って塞ぎますと細い軒を実現する事は困難そうだと思っていたというのもあります。
そんな苦手意識と、手がけるお仕事が都心周辺の敷地で軒を出すと敷地境界を飛び出してしまうまで外壁をギリギリまで建て混むという事が多かったというのも手伝い、なんとなく回避してきました。
しかし、小牛田では敷地が広く、樋をつけなくても良さそうな敷地なので、思い切って軒を出しております。「延焼の恐れのある部分」からも外れているので、軒裏の構造(垂木)を見せる事が出来まして、すでにその部分は出来上がっております。垂木や野地板露出は見せ方も難しいですし、軒先の雨仕舞いも難しいので、やってみて軒の納まりの奥の深さを実感しております。
南面の軒の出し過ぎは冬の日射取得には良くないのですが、今回は雪対策を優先しちょっと大きめ軒の出としています。
都会では軒ではなく窓上のスマートなアルミかステンレスの庇がよいですかね。
片流れ北側の軒
片流れ南側の軒

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