削ろう会 2006.09
9/30(土)に新潟県三条で「削ろう会」という催しがあります。鉋(かんな)によって誰が一番木を薄く削れるかを競う会。・・・マニアックです。関係者を通じてその存在は知っていて、いつか見に行きたいものだと思っていたのですが、なんと先日違うところでその秘技に出会うことになりました。
和光市で現場が進んでいる3階建ての住宅ですが、その大工さんがなんと前年度のチャンピオン。今年も本大会に向けて軽く現場で練習するって言うものですから見に行きました。
まず道具がすごい。見たこともないような大きな幅広の鉋。ノミを差し込んだ独創的な鉋。材料もかなり上等なヒバ材でした。
スゥーっと簡単に鉋をひくと金槌で鉋のお尻をたたき、刃の出具合を調整してまたひきます。始めは薄い紙のようだった鉋屑は、だんだんと極限の薄さに近づき透かし見える絹のようになっていきます。もはや木とは思えません。その極限の厚みは1/1000mm単位の世界。ちぎれないである長さと幅をもってその薄さを実現することが大変ですが、大会では測定器に持っていく間にも、水蒸気や埃で厚くなってしまうそうです。
当日は建て主さん一家もいらっしゃって、皆で鉋削りを体験させてもらいました。
その刃の切れ味にも驚きましたが、とにかく奥が深いものだでした。1.8mくらいの長さをひくのですが、足の移動と体重の載せ方、力の入れ具合、呼吸の仕方までが微妙に影響します。体がぶれたらすぐに切れてしまうし、一回ひくだけで汗が出てきます。
最後に鏡のように反射する木肌を見たときには、日本人の美に対する精神みたいなものを感じて感動しました。・・・かっこいい。建て主のご長男さんは将来大工さんかもしれません!
最近は工業化ばかりが進み、こういった技や腕、美に対する執着みたいなものを大事にする職人さんって少なくなってます。そういった意味でもものすごく貴重な体験でした。