前出のmoods(美容院)の3件となりに建つ40席あるカフェの新築。新興住宅地のバス通りに面し、人通りや車で通過することが多いためファサードは見る人が動くにつれ変化するように鋼板を山形に特注加工し、片面のみに色を塗理ました。見る角度によって外観の色が変わるようにするため、トリックアートのような試みをしました。
内観は機能ごとに壁で小部屋に作るのではなく、なるべく空間全体がつながっているような建築的操作はできないかと考えました。そこで、カフェ機能の他に要求されたギャラリーとテラス部屋にキッチン、トイレを加えた4つの機能ヴォリュームを大きなワンルームに集合させるのではなく、点在させることで残余空間となる客席に濃淡を作り出そうと試みました。それらのヴォリュームの配置次第で様々な広さや雰囲気の客席を作り出すことができるからです。
次にそれらの機能ヴォリュームを床下に半階押し下げ、その上面はカフェの大テーブルとしても利用しています。機能ヴォリュームに囲まれたコーナーには適した席を設け、座ったときは囲われ、立ち上がると全体が見渡せるという不思議な空間を作り出しました。押し下げた機能ヴォリュームの存在が外観からもわかるように、外観下部はパンチングの山形折にしています。
なおこの仕事は岡村裕次、谷川寛、北山修で共同設計しています。